みなさんは神社に行くことありますか?多くの人は初詣に行くために、年末年始に訪れることが多いと思います。伊勢神宮や明治神宮のように大きく超有名な神社もあれば、古くてボロボロの神社も近所に鎮座していると思います。
神社を訪れると、水色や紫・白色の袴を着た人々が目につくと思います。あの人達が神主です。
今回の記事は、元サラリーマンで現神主の筆者が、神職を目指す方々に向けて神主になる方法をご紹介します。
神主になる方法 3種類
日本全国にある神社のほとんどは『神社本庁』と呼ばれる統括組織に属しています。したがって神社本庁に属する神社で奉仕するためには、その資格を必ず取得しなければならなりません。
仮にあなたが神社の子供だとしても、神職資格がなければ正式に奉仕は出来ません。
ただし、社家(実家が神社)の子供は英才教育の一環ととして、裏方でのお手伝いや女の子なら舞の奉納をする手伝いをすることはありますが、いきなり普通の人は絶対に働けません。
方法は3つ
『神道系大学』『神職養成所』『講習会』
・神道系大学に進学
将来的に神主を目指している高校生なら、神道学部を設置している大学に進学して、卒業時に神主としての資格を取得する方法があります。
神社界でも出身が多いのは、やはり「國學院大學」と「皇學館大学」です。学生生活を楽しみながら、必要な知識や作法を4年間学んでいきます。
ちなみに成績優秀者には、誰もが知っている超有名神社からのお誘いがあるそうです。
そして國學院大學と皇學館大学が教える基本作法に、多少の違いが存在しています。また神社界の2大派閥みたいな雰囲気がありまが、東側の出身者は國學院大學に。西側の出身者は皇學館大学に通う傾向がある程度の差です。
・神職養成所に通う
資格を取得するまで1~4年と選択肢が広いです。大卒の人なら1年だけで卒業が出来るコースがあるようです。基本的には寮に住み込み、昼は神社に奉職して夜間に大学に通うスタイルになるようです。夜間なので学費は安めの金額です。
養成所と言うより”夜間学校”と考えた方がイメージ付きやすいと思います。社会人の方も多くロックミュージシャンの相川七瀬さんは、ここに在籍していました。
ちなみに國學院大學の場合だと、昼に奉職する神社は明治神宮になる場合が多いようです。
講習会を受講する
1ヶ月で資格を取得することができます。お笑い芸人の狩野英孝さんもこの方法で取得しました。
「絶対コレが良いじゃん」と思ったと思いますが、一番難易度が高い方法だと言えます。その理由は
推薦書がなければ何も始められない。
まず推薦書がなければ、講習会に参加できないのです。
①『神社庁からの推薦状』を用意
奉職する神社(就職先の神社)の関係者に依頼して、その神社を管轄する都道府県の神社庁に届け出をしてもらいます。そして神社庁から推薦書を発行してもらう必要があります。
今簡潔に書きましたが、奉職する神社に必要書類の提出と面談。そして神社庁でも同様の手続きがあります。これらを講習会の募集締め切りまでに終える必要があります。
國學院大學の講習会は年に2回しか開催されません。働きながら常に逆算して行動する必要があり、申し込みが遅れると全て努力が無駄になるので、スタート地点に立つまで本当に苦労します。
神社の関係者と知り合いが居るなら、速攻で相談することをオススメします。
筆者の場合は、代々続く神社の家系ではなく、父親が神主資格を持っていただけなので、限りなく一般家庭に近い環境でした。また色々と頼りにしたい父親は亡くなってしまっていた状況でした。
何も繋がりが無い場合だと、まず神社関係者と繋がりを作ることから始めなければなりません。筆者もコレに似た状況からのスタートでした。
神職者(神主)は、全国で約2万人いると言われていますが、神社の数は文部科学省の資料によれば、日本全国に約8万5千の神社があり 、登録されていない小神社を含めると数は更に増加します。
神社界でも後継者不足問題を抱えており、後継者になってくれる人を探している神社は多数あります。
チャンスはあります。
「就職する前にアルバイト出来たら良いのに」と思った人は、神主さん(巫女さん)のアルバイトについて詳しく紹介した記事がるので読んでみてください。
神主になる方法 國學院大學の講習会
無事に推薦書を受け取ったとしても、今度は大学側の受講する条件があります。
②年齢制限
原則として年齢満65歳までとしています。定年後に始めようと思っても間に合わない場合があります。
③学歴
・短期大学卒業者及びこれと同等以上の学校卒業者。
・大学又は短期大学に在籍している者。
高卒の場合は認められません。学生の場合だと夏休みを全て犠牲にして受講する必要があります。
④試験
以前は推薦書さえ手にいれたら、ほぼ参加が認められる状態でしたが、事前に試験が実施されるようになりました。
理由はコロナ明けの最初の講習会にありました。数年ぶりの開催されたことで希望者が殺到し、本来定員が4~50名だったにも関わらず、特例で150名以上の受講者を受け入れました。
しかし、人数が多すぎて指導が十分に行き届かない事態や神職として人間として未熟な者が含まれていたため、大学は選考が必要だと判断したようです。
この講習会には神社関係者の人が多く、彼らにとっての常識が一般人の筆者には無かったので、彼らとのズレを感じていました。
講習会では、通常4年要する知識や作法を、わずか1ヶ月で習得しなければならないため、マジで信じられないほどの速さで進行します。
神主なる方法 講習会で辛いこと
やっぱり正座と蹲踞の姿勢でした。
皆さんは普段の生活で正座をすることありますか?もしかしたら、この記事を読んでいるあなたの姿勢は椅子に座っているか、ゴロゴロした体勢で読んでいると思います。
試しに正座をして続きを読んでください。
神主が座るときの基本姿勢は”正座”です。祭祀の場合だと長時間に渡って座り続けます。最近は和製の椅子に座って行なうこともありますが、問題なく正座ができないと論外扱いになります。
私たちの生活だと椅子に座ることが普通になっているので、長時間の正座はキツイです。
個人的に正座よりもキツかったのは、蹲踞の姿勢でした。剣道やお相撲さんが踵を浮かせて、つま先だけでしゃがみ込む姿勢です。神職の場合だと膝も床につけますが、自分の全体重がつま先にのしかかるのが大変です。
しかも足の親指が75度以上曲げにくい体だったので、10分以上は正直できないです。
ただ講習会では容赦なく指導されますし、実際のご祈祷中でも長時間座ったあと、「別に足しびれてありませんよ。」と言った表情で立ち上がる場面も多々あります。
あっ正座し続けてくれました?どうですか?ヤバいですか?それとも全然余裕でした?
神主なる方法 講習会で辛かったこと2
社会人になってからの神主の資格を取得するのは思った以上に大変です。仕事を退職した人や有給休暇をフル活用して参加している人も居ました。それでも夜に溜まったメール処理や自分の仕事をしている社会人は多くいました。
学生にとっては貴重な夏休みが潰れてしまうデメリットがあります。バイトをやる余裕なんてありませんので、ただただお金が無くなっていくだけです。
さらに思った以上にお金は出ていきます。
地方在住なら、開催される東京に移動する交通費と約1ヶ月滞在する部屋も契約する必要があります。そこに食費が加わります。
さらに家族がいれば、彼らを養う分と住んでいる家賃や諸々の支払いを無給の状態で払うことになります。ある程度備えておく必要があります。
神主になる方法 まとめ
時間が掛かるけど、時間さえかければ難易度は高くありません。
厳しい試験や修行なども無いので、ある意味取得し易いかもしれません。多少は参考になりましたか?
ここまで読んで下さりありがとうございます。
良い一日を!
神主になる方法 裏ワザ
今まで紹介した方法は、神社庁の管轄になっている神社での神主になる方法です。
実は、今まで紹介したことを無視して神主になれる方法があります。
神社庁の管轄では無い神社に奉職することです。 それらの神社を「単立神社」といいます。単立神社は、何らかの理由によって神社本庁に所属せずに独自で運営しています。
例えば出雲大神宮は単立神社です。
大きな理由は祀っている神様が異なるからです。神社本庁は伊勢神宮を本宗としています。伊勢神宮は天照大神を祀る神社ですが、出雲大神宮は大国主命を祀る神社です。信仰する神様が違うので独自で神社を運営することを選んでいます。
極端なことを言うと、神主になる方法もその神社が決めた独自の試験をクリアすれば、『神主』と名乗ることが出来るのです。
ただし、通用するのはそこの神社で奉職しているだけになります。
どのような試験を行なうのかは分かりません。そのような人物に会ったことも無いので情報が少なく詳細を伝えられませんが、デメリットが多い気がします。
なので、全国で通用する神社本庁が発行する資格を取得した方が良いです。
改めて、ここまで読んで下さりありがとうございました。良い一日を。